涙枯れて朽ち果てる時 そこが恐らくこの世の果てだ。
らいむらいと セカンド・アルバム「この世の果て」完成

らいむらいと、と言えば都市の路地裏に咲いた隠花植物・・といったイメージが強かった。デカダンや孤独、パラノイア、悲しみ・・といった言葉がらいむらいとの歌う楽曲からいつも零れ落ちていたように思う。だがこのニュー・アルバム『この世の果て』を聴き終えたとき、その先入観は覆された。「この世の果て」という厭世的なタイトルながら、彼らは「終わりからの始まり」を歌いかけている。そこには2011年3月11日に日本が体験した未曾有の悲劇からの出発と再生を見据えての決してあきらめぬ心と未来への想いが込められている。それは能天気なJ-POP風応援歌ではなく、路地裏の孤独を知りぬいた者にこそ歌える自らが毒をくらいながらの血にまみれた愛と希望なのだ。痛みを知っている者でこそ歌える愛、絶望を見た者でこそ歌える希望。それがこのアルバムには込められている。そしてこれまで以上に楽曲のメロディーはキャパシティを増し、お嬢のヴォーカルにも凄味のような感覚さえ感じられるようになった。断言しよう。『この世の果て』はらいむらいとの最高傑作アルバムであるだけでなく、2012年上半期に聴いたアルバムの中で、決して色褪せることのないリアルなパッションとイノセントな輝きに満ち溢れた作品である。素晴らしい!!

鳥井賀句(音楽評論家 / 新宿SOUL KITCHEN店主